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朝のバイタル測定、偏っていませんか?業務のボトルネックを解消する仕組みづくり



「バイタル測定といえば朝起きてすぐに行うもの」——多くの介護施設で、このような暗黙のルールができあがっていませんか?


もちろん、起床時の体調確認は重要です。しかし、すべての入居者様のバイタル測定を朝の決まった数時間に集中させることが、結果としてスタッフの大きな負担となり、ケアの質にも影響を与えているとしたらどうでしょうか。


本記事では、介護現場における「バイタル測定の朝集中」がもたらす構造的な問題点と、その解決策としての「測定の分散化」というワークフロー見直しの視点について解説します。



なぜバイタル測定は「朝」に集中するのか?


そもそも、なぜ多くの施設でバイタル測定が朝の業務として定着しているのでしょうか。その背景には、いくつかの要因が絡み合っています。



1. 医療的な慣習の影響


病院などの医療機関では、回診前に基礎データとしてバイタルサインを揃えておく必要があります。この医療的な慣習が、生活の場である介護施設にもそのまま持ち込まれているケースが少なくありません。もちろんデイサービスなど、サービス提供前の体調確認が必須な場面もありますが、入所型施設においては必ずしも全員が「朝一番」である必要はない場合も多いのです。



2. 業務の区切りとしてのわかりやすさ


「朝食前までに全員の測定を終わらせる」という目標は、業務のタスク管理として非常にわかりやすいという側面があります。夜勤明けのスタッフから日勤のスタッフへの引き継ぎにも便利なため、管理上の都合で朝に固定されていることが少なくありません。



朝の業務集中が引き起こす3つの問題


管理上は都合の良い「朝のバイタル測定」ですが、現場のスタッフや入居者様にはどのような影響があるのでしょうか。




1. スタッフの心理的負担と焦り


朝は起床介助、排泄介助、朝食の準備など、ただでさえ業務が立て込む時間帯です。そこに「全員のバイタル測定を終わらせなければ」というプレッシャーが加わることで、スタッフの心理的負担はピークに達します。時間に追われる焦りは、些細なミスや、入居者様への「作業的」な対応を引き起こす原因にもなります。





2. ケアの質(QOC)の低下


本来、バイタル測定は「数値の確認」だけでなく、「顔色を見る」「会話をする」といった重要なコミュニケーションの機会です。しかし、次々と測定をこなさなければならない状況下では、コミュニケーションがおろそかになりがちです。また、入居者様にとっても、朝の慌ただしい中で次々と機械を当てられることは、決して心地よい体験ではありません。





3. 測定拒否やトラブルの誘発


認知症の方などは特に、朝の寝起きの不機嫌なタイミングで無理に測定しようとすると、拒否や興奮につながることがあります。一度拒否されると、時間を置いて再測定する必要が生じ、さらに業務が滞るという悪循環に陥ります。




解決策:「測定の分散化」というシフトマネジメント


このボトルネックを解消するための有効なアプローチが、「バイタル測定の分散化」です。全員を朝一斉に測定するのではなく、入居者様一人ひとりの生活リズムや、施設全体の業務フローに合わせて測定タイミングを振り分けていきます。



ワークフロー再設計の具体例



  • 食事の時間を活用する:昼食や夕食で食堂に集まるタイミングで、リラックスしている状態の方から順番に測定を行う。

  • 入浴の前後に組み込む:入浴前の体調確認のタイミングでバイタル測定を行い、そのまま記録システムに反映させる。

  • レクリエーション中のスキマ時間:皆で集まってテレビを見たり、歓談している穏やかな時間帯に、見守りを兼ねて自然に測定を行う。


もちろん、「朝の測定が必須な方(医療的ケアが必要な方など)」は優先して朝に行いますが、それ以外の方については、このように日中の様々なタイミングへ分散させることで、特定の時間帯への業務集中を大きく緩和できます。



非接触バイタル測定機が「分散化」を後押しする


このような柔軟な業務設計を実現する上で、強力なサポーターとなるのが介護DX、特に「非接触バイタル測定器(rPPG技術など)」の導入です。


従来の接触型の機器では、機器の持ち運びや装着の手間があり、「いつでも・どこでも・誰でも」測定することが困難でした。しかし、スマートフォンやタブレットのカメラを顔に向けるだけで測定できる非接触測定器であれば、食堂でも、リビングでも、入居者様がリラックスしているその場で、会話をしながら自然に測定を完了させることができます。測定結果も自動で記録されるため、後からまとめて転記する作業も不要になります。さらに、万が一測定に失敗しても、後で別のスタッフが手軽に再挑戦できるため、特定の担当者への負担集中も防げます。


技術の力で「測定という行為自体のハードル」を下げることで、初めて「業務の分散化」という根本的なワークフローの見直しが可能になるのです。また、入居者様にとっても、腕を締め付けられたり指を挟まれたりする不快感がなくなり、より自然な形で日々の健康管理に協力していただけるようになります。



まとめ:業務設計を見直し、スタッフに「余裕」を


朝のバイタル測定の集中は、決して「仕方ないこと」ではありません。慣習にとらわれず、入居者様の状態に合わせて測定タイミングを分散させることで、特定の時間帯のボトルネックを解消することができます。


業務が平準化されれば、スタッフに心理的な「余裕」が生まれ、それは必ず入居者様への優しい声かけや、より丁寧なケアとなって還元されます。バイタル測定の在り方を見直すことは、施設全体のケアの質を向上させるための重要な第一歩と言えるでしょう。また、スタッフ同士の引き継ぎもスムーズになり、チーム全体の連携も強化されます。


まずは施設の現在のワークフローを振り返り、「本当に全員が朝でなければならないのか?」という視点から、業務設計を見直してみてはいかがでしょうか。そして、その見直しを強力にサポートするツールとして、非接触バイタル測定の導入も検討する価値があります。毎日の小さな積み重ねが、やがて施設全体に大きな前向きな変化をもたらすはずです。





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