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バイタルチェックとは?介護現場の課題と効率化の方法

バイタルチェックのイメージ

毎朝のバイタルチェックに追われ、入居者さまとゆっくり向き合う時間が取れない——。そんな悩みを抱える介護施設の管理者や介護士の方は少なくありません。

本記事では、バイタルチェックの基本として、測定する4つの項目、それぞれの正常値と異常値の目安、正しい測定手順と注意点までを丁寧に解説します。さらに、介護現場で実際に直面する課題や、最新の非接触バイタル測定技術についてもご紹介。「そもそもバイタルチェックって何を測るの?」「正常値はどれくらい?」という基礎をおさえたい新人介護士の方にも役立つ入門ガイドです。

バイタルチェックとは?介護現場での基本と重要性

バイタルチェックとは、人の生命活動を示す基本的な指標(バイタルサイン)を定期的に測定・確認する行為を指します。「バイタル(vital)」は英語で「生命の」という意味を持ち、医療・介護の現場では「バイタル測定」「バイタルサインの確認」とも呼ばれます。

介護現場におけるバイタルチェックでは、主に以下の4つの項目を確認します。

  • 表面温度:発熱や体表温の低下の有無を確認
  • 血圧:循環器系の状態を把握
  • 心拍数:リズムの乱れや頻脈・徐脈がないかを確認
  • SpO2:血液中の酸素量の目安を測定

介護施設では、入居者さまの体調変化を早期に発見し、医療職への適切な報告につなげるために、毎日のバイタルチェックが欠かせません。特に高齢者は自覚症状を訴えにくいケースも多く、数値の変化が体調悪化の"最初のサイン"となることがあります。

バイタルチェックは、介護士にとって日々の業務の中でも最も基本的かつ重要な役割のひとつです。しかしその一方で、この「当たり前の業務」が現場に大きな負担をかけているのも事実です。

バイタルチェックの正常値と異常値の目安

バイタルチェックを行う際、「何が正常で、何が異常なのか」の目安を知っておくことが大切です。以下に、高齢者のバイタルサインの一般的な基準値をまとめました。

測定項目 正常値の目安 注意が必要な値 確認のポイント
表面温度 36.0〜37.0℃ 37.5℃以上 / 35.0℃以下 感染症の疑い、脱水、低体温
血圧 120〜140mmHg 180以上 / 90以下 高血圧緊急症、ショック
心拍数 60〜80回/分 100以上 / 50以下 頻脈、徐脈、不整脈
SpO2 96%以上 93%以下 呼吸不全、肺炎の疑い

※ 上記は一般的な目安です。個人の基礎疾患や服薬状況により基準は異なります。必ず医療職の指示に従ってください。
出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」、日本呼吸器学会「呼吸器の病気」、厚生労働省「介護職員初任者研修テキスト」

▶ ポイント:「いつもと違う」に気づくことが大切

正常値・異常値の数字を覚えることも重要ですが、介護現場で最も大切なのは「その方の"いつもの値"からの変化」に気づくことです。Aさんの平常時の血圧が100/60であれば、130/80でも「普段より高い」と報告する判断が求められます。

各バイタル測定項目の正しい測り方と注意点

バイタルチェックの4項目には、それぞれ測定時に気をつけるべきポイントがあります。介護士として正確な測定を行うために、項目ごとの注意点を押さえておきましょう。

表面温度の正しい測り方と高齢者特有の注意点

介護現場で表面温度を測定する際は、腋窩(えきか=脇の下)で測る方法が最も一般的です。測定時間は電子体温計で約30秒〜1分程度。脇の下に汗をかいている場合は、拭いてから測定してください。

高齢者特有の注意点として、加齢に伴い基礎の表面温度が低下する傾向があります。平熱が35℃台の方も珍しくないため、「36.5℃でも、その方にとっては微熱」というケースがあります。入居者さまごとの平熱を記録し、普段の値と比較する習慣が大切です。

血圧のバイタル測定時に気をつけること

血圧は、カフ(腕帯)の巻き方ひとつで数値が変わるデリケートな測定です。上腕を心臓と同じ高さにし、カフと肌の間に指が1〜2本入る程度の締め具合が適切です。

  • 測定前に5分以上安静にしてから測る(食事直後・入浴直後・排泄直後は避ける)
  • 厚手の衣服の上からカフを巻かない(薄い肌着1枚まで)
  • 会話をしながらの測定は数値が上がるため、静かな環境で行う
  • 高齢者は起立性低血圧(立ち上がった際の急激な血圧低下)が起きやすいため、体位変換後は注意する

心拍数の測定方法と不整脈の見分け方

心拍数は、手首の橈骨動脈(とうこつどうみゃく)に人差し指・中指・薬指の3本を当て、15秒間の拍動数を数えて4倍する方法が基本です。自動血圧計を使用する場合は、血圧と同時に心拍数も表示されます。

測定時に注目すべきは、心拍数の「数」だけでなく「リズム」です。脈が飛ぶ(不整脈の疑い)、脈が弱くて触れにくい——といった場合は、心拍数の値だけではわからない異常を示していることがあります。気になる場合は、看護師にリズムの異常も合わせて報告しましょう。

SpO2の測定時の注意点と正しい読み方

SpO2は、パルスオキシメーターを指先に装着して測定します。血液中のヘモグロビンがどの程度酸素と結合しているかを示す指標で、肺や呼吸器の状態を把握する手がかりとなります。

  • マニキュアやジェルネイルをしている指では正確に測定できません(光が遮られるため)
  • 指先が冷えている場合は、軽く温めてから測定する(末梢循環不良で値が低く出る)
  • 測定中に指を動かすと値が安定しないため、じっとしている状態で読み取る
  • 93%以下の場合は呼吸不全の可能性があるため、すぐに看護師に報告する

バイタルチェックの正しい手順と記録のポイント

バイタルチェックは「ただ数値を測る」だけではなく、測定環境や入居者さまの状態にも気を配る必要があります。介護士がバイタルチェックを行う際の基本手順をまとめました。

Step 1:バイタル測定前の準備と確認事項

  • 入居者さまが安静にしている状態(起床直後や食事直後は避ける)で測定する
  • 室温が極端に低い・高い場合は数値に影響するため注意
  • 前回の測定値を確認し、「普段の値」を把握しておく

Step 2:バイタル測定の正しい実施手順

  • 測定の順序は表面温度 → 心拍数 → 血圧 → SpO2が一般的
  • 声かけをしながらリラックスした状態で測定する
  • 認知症の方には、測定行為を無理強いせず、タイミングを見て行う

Step 3:バイタル測定値の記録と報告のポイント

  • 測定値をすぐに記録する(「あとでまとめて記録」は転記ミスの原因
  • 「いつもと違う」値が出た場合は、すぐに看護師に報告
  • 数値だけでなく、顔色・表情・食欲など主観的な観察情報も合わせて記録する

介護現場のバイタルチェックでよくある3つの課題

バイタルチェックの重要性を理解していても、介護現場では以下のような課題に直面することが少なくありません。

課題1:測定に時間がかかりすぎる

介護施設の朝は、起床介助、食事の準備、排泄ケアなど業務が集中する時間帯です。そこに全員分のバイタル測定が重なると、スタッフの負担は一気に増大します。「測定だけで2時間以上かかり、他の業務に手が回らない」「慌ただしくて、入居者さまとゆっくり会話する時間が持てない」——こうした声は、多くの介護士から聞かれる切実な悩みです。

課題2:手書きメモから介護記録ソフトへの転記ミス

現場では「測る→手書きでメモする→介護記録ソフトに転記する」という3ステップが一般的なバイタルチェックの方法です。しかし、このプロセスには転記ミスや記入漏れのリスクが常につきまといます。疲労・眠気・焦りが重なるタイミングで記入される記録は、ミスや抜け漏れの温床になりかねません。介護記録の課題と効率化については「介護記録の書き方と自動化|転記ミスをゼロにする方法」でも詳しく解説しています。

課題3:測定時の入居者さまへの身体的・精神的負担

血圧計のカフ(腕帯)を巻く、表面温度計を脇に挟んでじっとしてもらう——こうした接触型の測定は、認知症の方や感覚が敏感な方にとってストレスになる場合があります。測定を嫌がる入居者さまへの対応に時間がかかり、全体の所要時間がさらに延びてしまう悪循環も現場ではよく見られます。

こうした課題に対して、具体的にどれくらいの時間がかかり、どう解決できるのかについては「バイタル測定の時間を75%短縮|介護施設の自動化ガイド」で数値データとともに詳しく解説しています。

バイタルチェックの新しい選択肢──非接触測定とは

従来のバイタルチェックの方法は、体温計・血圧計・パルスオキシメーターといった専用の機器を使い、入居者さま一人ひとりに接触して測定するスタイルが主流でした。

近年注目を集めているのが、rPPG(リモート・フォトプレチスモグラフィー)と呼ばれる非接触のバイタル測定技術です。人の顔に当たる光は、皮膚の下を流れる血流の影響でごくわずかに変化します。この微細な色の変動をカメラが捉え、AIが解析することで、心拍数や血圧などの生体情報を非接触で推定します。rPPG技術の詳しい仕組みについては「rPPGとは?非接触バイタル測定の原理と介護活用を解説」をご覧ください。

非接触バイタルチェックのメリット

  • 感染リスクの低減:接触がないため、感染対策としても有効
  • 入居者さまへの負担軽減:認知症の方や敏感な方にも自然に測定が可能
  • 測定時間の大幅短縮:スマホカメラを約10秒向けるだけで測定が完了

介護DX全体の流れの中での位置づけについては「介護DXとは?業務効率化の具体策と導入事例を解説」もあわせてお読みください。

バイタルチェックに関するよくある質問

Q バイタルチェックは1日何回行うべきですか?
一般的には1日1〜2回(起床時と就寝前)が基本です。ただし、体調に変化がある場合や、医師・看護師から指示がある場合は、随時追加で測定を行います。施設ごとのマニュアルに従ってください。
Q 食後すぐにバイタル測定してもいいですか?
食事直後は血圧や心拍数が変動しやすいため、食後30分以上経過してから測定するのが望ましいです。食後に血圧が下がる「食後性低血圧」は高齢者に多く見られるため、食前に測定するルールにしている施設もあります。
Q 入居者がバイタルチェックを拒否する場合はどうすべきですか?
無理強いは禁物です。時間をずらす、声かけの方法を変える、他のスタッフに交代するなどの対応を試みます。それでも拒否が続く場合は看護師に報告し、非接触型の測定方法の導入も検討すると良いでしょう。
Q バイタルチェックは介護士でも行えますか?(医療行為との線引き)
体温・血圧・心拍数・SpO2の測定は医療行為には該当しないとされており、介護士でも実施可能です(厚生労働省通知 平成17年7月26日)。ただし、測定結果に基づく判断(薬の調整、処置の決定など)は医療職が行います。介護士の役割は「正確に測定し、異常を報告する」ことです。

まとめ:介護現場のバイタルチェックを正しく効率的に

本記事では、バイタルチェックの基本として、測定する4つの項目・正常値の目安・各項目の測り方・測定手順・注意点をご紹介しました。

  • バイタルチェックは表面温度・血圧・心拍数・SpO2の4項目を毎日確認すること
  • 正常値だけでなく、「その方のいつもの値」との比較が最も重要
  • 測定前の安静確認、声かけ、すぐの記録が正確な測定のポイント
  • 「測定時間」「転記ミス」「入居者さまの負担」が介護現場の3大課題

「バイタルチェックの時間を減らしたい」とお考えの方へ

具体的な効率化の方法や、非接触バイタル測定による測定時間75%短縮の事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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免責事項

本記事は介護現場でのバイタルチェックに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医療行為の指示や診断を目的としたものではありません。記載されている正常値・異常値の目安は、個人の基礎疾患・服薬状況・年齢等により異なります。具体的な対応については、必ず担当医師・看護師などの医療専門職にご相談ください。

提供:株式会社バイタルDX
東京都台東区東上野3-36-1 上野第2ビル202
https://vital-dx.com/


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